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一分一秒真剣勝負!

Ruby, Railsなど。Web系の技術ネタを充実させたい・・が、そうなるかは分からない。

心にナイフをしのばせて読みました

book

心にナイフをしのばせて
奥野 修司
文藝春秋
売り上げランキング: 334

 宮崎哲弥氏が「是非読んで頂きたい」と推している*1のを見て即購入・・・したのに放置されていた本書ですが、やっと読み切りました。
 本書を読み始める前に、id:naoyaさんのエントリーで

さて、こういう視点を持って書籍を読み進めていくとどうでしょうか。「高1の少年が同級生の首を切り落とした驚愕の事件。被害者の母はさながら廃人のように生き、犯人は弁護士として社会復帰していた!」という煽り文句によって事件は誇張され、事実がねじまげられているように感じ、嫌悪感を抱きます。書籍の終わり頃になって、成人した少年が弁護士事務所で働いていて、被害者家族と接触をという話に移っていくわけですが、ここも筆者の主観が多く交えられて記述されており、情報が操作されているかもしれないということが頭をよぎります。この筆者が記述していることのどこまでが本当でどこまでが恣意的なものなのかの判断がつきません。おそらくこの書籍に書かれている多くのことは事実なのでしょう。しかし、ところどころに見られる巧みな(?)情報操作の痕跡がその邪魔をします。結局、この書籍に書かれたことをそのまま受け取ってしまってはいけないという風に僕は総括しました。
naoyaのはてなダイアリー - 「心にナイフをしのばせて」読後感想

 というように、事件に対する「主観」や意図的な「情報操作」により信頼できる本ではないと書かれていて、少年犯罪データベースの管理人さんのエントリーでも似たような批判がされていたので、その点を意識して読んでみたのですが、確かにその通りでした。
 しかし、著者である奥野さんは4年間もかけて被害者の家族から取材を行っているわけで、被害者の家族に感情移入してしまい、本来なら極力客観的に書くべきであるのに、少年Aの供述部分を被害者よりに書いてしまってたのではないかと感じました。まー僕の勝手な思いこみですが。
 この事件に関して疑わしい箇所があるので、「本書に書かれた内容は信頼できない」で終わらせてしまうのは簡単です。しかし確実に事実と言える部分もあります。それは以下のような事実。

高校生首切り殺人事件は、昭和44年4月23日、神奈川県川崎市のミッション系スクールで起きた。
寮生活を送る1年生(15)が、学校の裏山から、血だらけでかけ下り、車で通りかかった人に「人殺しだ。日本刀の3人組に襲われた。友達が殺された」と助けを求める。
現場には、無数の傷を受けた同級性の首なし死体が横たわり、斬りとられた首が傍に転がっていた。
葬儀ミサが行われている25日、少年は「見下げられ、悔しまぎれに刺殺した」 と自供。
中学の時からいじめられ、この日には辞書に毛虫をはさまれた。
脅かすつもりで万引きした登山ナイフを見せたところ、「お前の顔はやっぱり豚に似てるなあ」と反対に嘲笑されたのに憤激してまず首を2回刺し、逃げるのを追い掛け47回めった刺しにして、ナイフだけで首を斬った。
自分の肩も2回ナイフで刺して、襲われたように偽装していた。
少年犯罪データベース-高校生首切り殺人事件

 もし自分に息子がいて、上記の引用部分のように「逃げるのを追い掛け47回めった刺し」にされて殺害された日には絶対に犯人を殺すでしょう。僕だったら被害者の父親のように宗教に入って自分を押さえ込んだり、我慢したりなんて絶対に無理だ。そこまでできた人間じゃない。
 しかし、そんなことが当たり前になったのでは被害者側が殺人犯になってしまう。現行の少年法では未成年に対する刑罰が軽すぎる為、こういった報復殺人が起きる可能性が極めて高いわけです。
 そもそも現行の少年法GHQが作ったもので、アメリカの法律をコピーしたようなもの。しかしアメリカではその後、少年に対する刑罰は重くなっているのに日本は問題が出てきているのにもかかわらず、全く変化なし。奥野さんは世論を動かして少年法を変えたかったのかもしれない。正しい事をするのだから多少手段がまずくてもかまわないじゃないか!・・・と、思ったかどうかは知らないですが、本書の作り方は逆効果だったかもしれません。いや残念でしょうがないですね。

*1:宮崎さんは山口県光市の母子殺害事件の遺族である本村さんと友人関係であり、少年法への思いも強いのか、熱く語っていますね。